開発者コンソールでApexの実行を確かめガバナ制限を読む方法
コードを実行してログを開き、1トランザクションのガバナ制限と非同期処理の選び方まで順に説明します。
Apexの実行は1トランザクション単位
Apexのコードは、開発者コンソールから直接実行しても、トリガから呼ばれても、1回の実行が1つのトランザクションです。トランザクションの中でSOQLを何回発行したか、DMLで何行変更したか、CPU時間をどれだけ使ったかは、すべて共通の上限(ガバナ制限)で管理されています。上限を超えると、その場で例外が発生して処理全体が止まります。
処理を作り込む前に、いま書いているコードがどの上限をどれだけ消費しているかを確かめられるようにしておきます。
開発者コンソールで実行して確かめる
Execute Anonymous Windowを開く
開発者コンソールのメニューから「Debug」→「Open Execute Anonymous Window」の順に選びます。
コードを貼り付ける
「Enter Apex Code」に確認したいコードを貼り付けます。匿名コードの中では
staticキーワードは使えません。Open Logにチェックを入れて実行する
「Open Log」を有効にしてから「Execute」(またはCtrl+E)を押します。実行が終わると、結果のデバッグログがログインスペクターで自動的に開きます。
同じコードを再実行する
コードを直さずもう一度流すだけなら、メニューの「Debug」→「Execute Last」で再実行できます。
サンプルとして、取引先を読み取るだけの単純なコードを使います。
for (Account acc : [SELECT Id, Name FROM Account]) { System.debug('accountName : ' + acc.Name); }
SOQLは1回だけです。ループの中ではDMLもSOQLも発行していません。安全な書き方です。
ログでガバナ制限の消費を見る
開いたログインスペクターには、実行内容を時系列で追える表示と、メソッド・クエリ・DMLなど処理の単位ごとに集計した表示があります。どちらも、どこで時間や呼び出し回数を使っているかを後から追うための機能です。
デバッグログのイベント種別(SOQL_EXECUTE_BEGIN・DML_BEGIN・LIMIT_USAGE_FOR_NSなど)を見れば、どの行がSOQLやDMLを発行し、そのときガバナ制限をどれだけ使ったかを正確に追えます。
1トランザクションのガバナ制限
Apexコードは、この上限の中で動きます。同期実行(画面操作やAPI呼び出しから直接動くApex)と、非同期実行(後述のBatch・Queueable・@future)とで、上限が違う項目があります。
| 項目 | 同期実行 | 非同期実行 |
|---|---|---|
| SOQL発行回数 | 100回 | 200回 |
| DML発行回数 | 150回 | 150回 |
| DMLで処理できるレコード数 | 10,000行 | 10,000行 |
| SOQLで返せるレコード数 | 50,000行 | 50,000行 |
| CPU時間 | 10,000ミリ秒 | 60,000ミリ秒 |
| ヒープサイズ | 6MB | 12MB |
⚠️ DML発行回数・DML対象行・SOQLで返せる行数は、同期でも非同期でも同じです。増えるのはSOQL発行回数とCPU時間、ヒープサイズだけです。非同期にすれば上限が全部緩くなるわけではありません。
同期と非同期で何が変わるか
同期実行は、呼び出し元が結果を待ちます。画面のボタンやトリガはこちらです。非同期実行は、呼び出し元を待たせずに、システムのリソースが空いたタイミングで別トランザクションとして動きます。上の表のとおり、非同期はCPU時間とヒープサイズの余裕が大きく、SOQL発行回数も増えます。時間のかかる処理や、大量のレコードを扱う処理を、同期側から追い出すのが非同期を使う一番の理由です。
非同期の選び方
| 方法 | 向いている場面 | 制約 |
|---|---|---|
@future | 外部サービスへのコールアウトや、別オブジェクトのDMLを本体のトランザクションから切り離したいとき | 引数はプリミティブ型(またはその配列)だけです。呼び出し順は保証されません。@futureから@futureは呼べません |
| Queueable | 実行状況をAsyncApexJobで追いたいとき、sObjectなどプリミティブでない型を引数として持たせたいとき | System.enqueueJobで次のジョブを連結できます(チェーン) |
Database.Batchable | 大量のレコードをstart・execute・finishに分けて処理したいとき | executeは既定200件(QueryLocator使用時は最大2,000件)ずつ呼ばれ、呼ばれるたびにガバナ制限がリセットされます |
ここで間違えやすい
| 間違い | 何が起きるか |
|---|---|
| 非同期にすればDMLの行数上限も緩くなると思い込む | DML発行回数・対象行数・SOQLで返せる行数は同期と同じです。増えるのはSOQL発行回数とCPU時間・ヒープだけです |
@futureメソッドの引数にsObjectを渡そうとする | プリミティブ型以外は渡せません。IDを渡してメソッドの中で取得し直します |
@futureから@futureを呼ぶ | 許されていません。呼び出した時点でエラーになります |
Execute Anonymous Windowの中でstaticを使う | 匿名コードでは使えません |
確認した環境
- 2026年9月/Salesforce Summer '26(APIバージョン67.0)時点の公式ドキュメントで、ガバナ制限の実数と
@future・Queueable・Batch Apexの違いを確認しています - Execute Anonymous Windowの操作手順はSalesforceヘルプの記載どおりです
まとめ
- Apexの実行は1トランザクション単位で、SOQL発行回数・DML発行回数・CPU時間・ヒープサイズなどのガバナ制限を共有します
- 同期実行はSOQL100回・DML150回・DML対象10,000行・SOQL取得50,000行・CPU10,000ミリ秒・ヒープ6MBです
- 非同期実行で緩くなるのはSOQL発行回数(200回)とCPU時間(60,000ミリ秒)・ヒープ(12MB)だけです。DMLまわりの上限は同期と同じです
- 外部コールアウトの切り離しは
@future、ジョブの監視や非プリミティブ引数が要るならQueueable、大量データの分割処理はBatch Apexを選びます - Execute Anonymous Windowでは
staticが使えません。実行結果はOpen Logを有効にしてログインスペクターで確認します
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