2026.10.06導入・活用の解説

Winter '27 で管理者と開発者が押さえたい変更

Winter '27 のリリースノートは、PDF で900ページを超えます。この記事では、強制適用されるリリース更新、フローの新機能、レポートのレコードプレビュー、Apex のヒープ上限の4つに絞り、何が変わるかと設定の場所をまとめます。

01どの変更から見ればよいか

Winter '27 は、2026年秋の Salesforce のリリースです。API バージョンは 68.0 になります。リリース日程と自分の組織の日付の調べ方は、別の記事「Winter '27 のリリース日程と管理者の確認手順」にまとめています。

リリースノートには新機能と変更が数多く並びますが、管理者がまず見るのは、何もしなくても組織の動きが変わるものです。この記事では次の順に取り上げます。

区分取り上げる変更
リリース更新Winter '27 で強制適用されるもの、次のリリースまでに期限が来るもの
フロータグ、テストモード(ベータ)、リストビューからの画面フロー、保存時の検査など
レポートレポートから離れずにレコードを開くプレビュー(ベータ)
Apexヒープ上限の引き上げ

02Winter '27 で強制適用されるリリース更新

次の更新は、Winter '27 のリリースで組織に適用されます。設定の[クイック検索]に「リリース更新」と入れると、組織ごとの状態を確かめられます。

リリース更新何が変わるか
SOAP login() に対する「任意の API 認証を使用」権限の割り当てSOAP API の login() で認証するユーザーに「Use Any API Auth(任意の API 認証を使用)」権限が要る。権限のないユーザーは login() がエラーになる
プロファイルの絞り込みの有効化「すべてのプロファイルの参照」権限がないユーザーは、自分以外のプロファイル名を見られなくなる
アクセシビリティの機能強化(3件)画面を200%を超えて拡大したとき、ページヘッダー、モーダル、カード、日付ピッカーなどの表示が拡大率に合わせて変わる

SOAP API で連携している組織は先に権限を付ける

連携への影響が大きいのは、SOAP API の login() の変更です。データローダや外部システムとの連携で、ユーザー名とパスワードで SOAP の login() を呼んでいる場合、そのユーザーに権限がないと連携が止まります。

対象は API が使えるすべてのエディションです。連携に使っているユーザーのプロファイルか権限セットに「Use Any API Auth(任意の API 認証を使用)」を付けておけば、login() はこれまでどおり使えます。

ここで間違えやすい:SOAP API の login() は、Summer '27 で API バージョン 31.0〜64.0 からの呼び出しが使えなくなる予定です。権限を付けて Winter '27 を越えても、古いバージョンで呼んでいる連携は、次の見直しが要ります。

プロファイル名が見えなくなる人を先に決める

プロファイルの絞り込みが有効になると、権限のないユーザーには、ほかのユーザーのプロファイル名が表示されません。ユーザー管理を任せている担当者など、仕事でプロファイル名を見る人には、適用の前に「すべてのプロファイルの参照」権限を付けます。

次のリリースまでに期限が来るもの

Winter '27 の後にも、連携に効く更新が続きます。

適用の時期リリース更新
2026年11月30日OAuth 2.0 デバイスフローを、localhost のコールバック URL を使うローカルの外部クライアントアプリケーションに限る
2026年12月1日メール検証の例外を保つには、承認済みメールドメインを設定する
2027年2月20日接続アプリケーションの OAuth 2.0 ユーザー名パスワードフローの廃止
2027年2月20日OAuth ユーザーエージェントフローとハイブリッドユーザーエージェントフローの廃止
Summer '27接続アプリケーションから外部クライアントアプリケーションへの移行。接続アプリケーションは動くが、修正やサポートの対象から外れる

ユーザー名パスワードフローの廃止は、Winter '27 で適用される予定だったものが2027年2月20日へ延びました。連携の認証方式を見直す時間は、この日までです。

03フローの新機能

フローの変更は数が多いので、毎日の作業で使うものを選びます。

機能何ができるか状態
フロータグフローに業務・チーム・目的のタグを付け、フローの一覧をタグで絞り込める一般提供
専用テストモード自動起動フローとレコードトリガーフローのテストシナリオを保存し、何度でも流せる。期待する結果を条件として書くと、合否が出るベータ
リストビューと関連リストの画面フロー一括クイックアクションから画面フローを起動し、選んだレコードの ID をまとめて渡せる一般提供
保存時の必須項目の検査[レコードを作成]要素で必須項目の割り当てが抜けていると、保存したときに警告が出る一般提供
ユーザーコンテキスト – ユーザー権限を適用呼び出し元が何であっても、実行ユーザーの権限でフローを動かす一般提供
編集履歴保存ごとの変更を一覧で見て、過去の保存から新しいバージョンを作れる一般提供
要素のグループ化関連する要素を名前付きのグループにまとめ、折りたためる一般提供
[未使用]の検索条件ツールボックスで、どこからも使われていないリソースだけを絞り込める一般提供

リストビューから複数のレコードを処理する

これまで、リストビューで選んだ複数のレコードを画面フローで処理するには、回避策を組む必要がありました。Winter '27 では、一括クイックアクションから画面フローを起動すると、選んだレコードの ID がフローに渡ります。

  1. フローの種別のアクションを用意する

    設定のオブジェクトマネージャーで対象のオブジェクトを開き、[ボタン、リンク、およびアクション]で種別が「フロー」のアクションを作ります。既にあるフローのアクションも使えます。

  2. リストビューに置く

    リストビューで使う場合は、[リストビューボタンレイアウト]にそのクイックアクションを追加します。

  3. 関連リストに置く

    関連リストで使う場合は、ページレイアウトで関連リストにクイックアクションを追加します。

ユーザーの権限でフローを動かす

これまで、ユーザーコンテキストで動くように設定したフローでも、システムコンテキストで動いている Apex や別のフローから呼ばれると、呼び出し元の権限を引き継いでいました。新しい[ユーザーコンテキスト – ユーザー権限を適用]を選ぶと、呼び出し元に関係なく、実行ユーザーのアクセス権で動きます。

画面フローと自動起動フローで選べます。フローを保存するときの[詳細を表示]の中の[フローの実行方法]で選びます。

ここで間違えやすい:この設定が効くのは、API バージョン 68.0 以降で動くフローだけです。既存のフローで使うときは、フローの API バージョンも確かめてください。

テストモードを使い始める

テストモードはベータです。設定の[クイック検索]に「プロセス」と入れて[プロセスの自動化設定]を開き、[フローテストモード(ベータ)]を選ぶと使えるようになります。Flow Builder の[テスト]からテストモードに切り替わります。テストモードの間は、フローの編集が制限されます。

04レポートからレコードをプレビューする

Lightning レポートで、レポートを開いたままレコードの詳細をサイドパネルで見られるようになりました。検索条件と列はそのまま残るので、レポートとレコードを行き来するたびにタブを開く必要がなくなります。

この機能はベータで、Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition で使えます。設定の[クイック検索]に「レポート」と入れて[レポートおよびダッシュボード設定]を開き、[Lightning Reports でレコードプレビューを表示する(ベータ)]を選びます。レポートの表示中に目のアイコンを押すと、レコードのリンクがプレビューで開くようになります。

05Apex のヒープ上限が上がる

Apex のヒープの上限が、同期のトランザクションで 6 MB から 10 MB へ、非同期のトランザクションで 12 MB から 25 MB へ上がります。大きなデータを扱う処理で、ヒープの上限エラーが起きにくくなります。

カスタム Apex か管理パッケージの Apex を動かすすべてのエディションが対象で、Winter '27 のリリースに合わせて自動で有効になります。組織の上限は Limits.getLimitHeapSize() で確かめられます。

System.debug('上限: ' + Limits.getLimitHeapSize());
System.debug('使用量: ' + Limits.getHeapSize());

組織のヒープ上限と、いまの使用量をデバッグログに出す(読み取りだけで安全)

ここで間違えやすい:Sandbox が先に Winter '27 へ上がり、本番がまだ Summer '26 のとき、Sandbox でだけ動く処理を作ってしまうことがあります。Winter '27 の Sandbox、Developer Edition、スクラッチ組織では、[Apex 設定]で[Summer '26 Apex ヒープ制限を適用]を選ぶと、古い上限で動かして確かめられます。この設定は Spring '27 で使えなくなり、新しい上限がすべての組織に適用されます。

06確認した環境

  • 2026年10月 / Salesforce Winter '27(API バージョン 68.0)時点の公式リリースノート(日本語版、2026年10月6日更新)で確認しています
  • 機能の状態(ベータか一般提供か)とエディションは、リリースノートの記載に合わせています

07まとめ

  • Winter '27 では、SOAP API の login() に「Use Any API Auth(任意の API 認証を使用)」権限が要るようになり、プロファイルの絞り込みが有効になります
  • 連携の認証は、2026年11月30日・12月1日・2027年2月20日・Summer '27 と期限が続きます。ユーザー名パスワードフローの廃止は2027年2月20日です
  • フローは、タグ、テストモード(ベータ)、リストビューからの画面フロー、保存時の必須項目の検査、ユーザー権限を適用する実行方法が加わります
  • Lightning レポートから、レポートを開いたままレコードをプレビューできます(ベータ)
  • Apex のヒープ上限は、同期で 10 MB、非同期で 25 MB に上がります

08参考

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