Winter '27 で管理者と開発者が押さえたい変更
Winter '27 のリリースノートは、PDF で900ページを超えます。この記事では、強制適用されるリリース更新、フローの新機能、レポートのレコードプレビュー、Apex のヒープ上限の4つに絞り、何が変わるかと設定の場所をまとめます。
01どの変更から見ればよいか
Winter '27 は、2026年秋の Salesforce のリリースです。API バージョンは 68.0 になります。リリース日程と自分の組織の日付の調べ方は、別の記事「Winter '27 のリリース日程と管理者の確認手順」にまとめています。
リリースノートには新機能と変更が数多く並びますが、管理者がまず見るのは、何もしなくても組織の動きが変わるものです。この記事では次の順に取り上げます。
| 区分 | 取り上げる変更 |
|---|---|
| リリース更新 | Winter '27 で強制適用されるもの、次のリリースまでに期限が来るもの |
| フロー | タグ、テストモード(ベータ)、リストビューからの画面フロー、保存時の検査など |
| レポート | レポートから離れずにレコードを開くプレビュー(ベータ) |
| Apex | ヒープ上限の引き上げ |
02Winter '27 で強制適用されるリリース更新
次の更新は、Winter '27 のリリースで組織に適用されます。設定の[クイック検索]に「リリース更新」と入れると、組織ごとの状態を確かめられます。
| リリース更新 | 何が変わるか |
|---|---|
| SOAP login() に対する「任意の API 認証を使用」権限の割り当て | SOAP API の login() で認証するユーザーに「Use Any API Auth(任意の API 認証を使用)」権限が要る。権限のないユーザーは login() がエラーになる |
| プロファイルの絞り込みの有効化 | 「すべてのプロファイルの参照」権限がないユーザーは、自分以外のプロファイル名を見られなくなる |
| アクセシビリティの機能強化(3件) | 画面を200%を超えて拡大したとき、ページヘッダー、モーダル、カード、日付ピッカーなどの表示が拡大率に合わせて変わる |
SOAP API で連携している組織は先に権限を付ける
連携への影響が大きいのは、SOAP API の login() の変更です。データローダや外部システムとの連携で、ユーザー名とパスワードで SOAP の login() を呼んでいる場合、そのユーザーに権限がないと連携が止まります。
対象は API が使えるすべてのエディションです。連携に使っているユーザーのプロファイルか権限セットに「Use Any API Auth(任意の API 認証を使用)」を付けておけば、login() はこれまでどおり使えます。
プロファイル名が見えなくなる人を先に決める
プロファイルの絞り込みが有効になると、権限のないユーザーには、ほかのユーザーのプロファイル名が表示されません。ユーザー管理を任せている担当者など、仕事でプロファイル名を見る人には、適用の前に「すべてのプロファイルの参照」権限を付けます。
次のリリースまでに期限が来るもの
Winter '27 の後にも、連携に効く更新が続きます。
| 適用の時期 | リリース更新 |
|---|---|
| 2026年11月30日 | OAuth 2.0 デバイスフローを、localhost のコールバック URL を使うローカルの外部クライアントアプリケーションに限る |
| 2026年12月1日 | メール検証の例外を保つには、承認済みメールドメインを設定する |
| 2027年2月20日 | 接続アプリケーションの OAuth 2.0 ユーザー名パスワードフローの廃止 |
| 2027年2月20日 | OAuth ユーザーエージェントフローとハイブリッドユーザーエージェントフローの廃止 |
| Summer '27 | 接続アプリケーションから外部クライアントアプリケーションへの移行。接続アプリケーションは動くが、修正やサポートの対象から外れる |
ユーザー名パスワードフローの廃止は、Winter '27 で適用される予定だったものが2027年2月20日へ延びました。連携の認証方式を見直す時間は、この日までです。
03フローの新機能
フローの変更は数が多いので、毎日の作業で使うものを選びます。
| 機能 | 何ができるか | 状態 |
|---|---|---|
| フロータグ | フローに業務・チーム・目的のタグを付け、フローの一覧をタグで絞り込める | 一般提供 |
| 専用テストモード | 自動起動フローとレコードトリガーフローのテストシナリオを保存し、何度でも流せる。期待する結果を条件として書くと、合否が出る | ベータ |
| リストビューと関連リストの画面フロー | 一括クイックアクションから画面フローを起動し、選んだレコードの ID をまとめて渡せる | 一般提供 |
| 保存時の必須項目の検査 | [レコードを作成]要素で必須項目の割り当てが抜けていると、保存したときに警告が出る | 一般提供 |
| ユーザーコンテキスト – ユーザー権限を適用 | 呼び出し元が何であっても、実行ユーザーの権限でフローを動かす | 一般提供 |
| 編集履歴 | 保存ごとの変更を一覧で見て、過去の保存から新しいバージョンを作れる | 一般提供 |
| 要素のグループ化 | 関連する要素を名前付きのグループにまとめ、折りたためる | 一般提供 |
| [未使用]の検索条件 | ツールボックスで、どこからも使われていないリソースだけを絞り込める | 一般提供 |
リストビューから複数のレコードを処理する
これまで、リストビューで選んだ複数のレコードを画面フローで処理するには、回避策を組む必要がありました。Winter '27 では、一括クイックアクションから画面フローを起動すると、選んだレコードの ID がフローに渡ります。
フローの種別のアクションを用意する
設定のオブジェクトマネージャーで対象のオブジェクトを開き、[ボタン、リンク、およびアクション]で種別が「フロー」のアクションを作ります。既にあるフローのアクションも使えます。
リストビューに置く
リストビューで使う場合は、[リストビューボタンレイアウト]にそのクイックアクションを追加します。
関連リストに置く
関連リストで使う場合は、ページレイアウトで関連リストにクイックアクションを追加します。
ユーザーの権限でフローを動かす
これまで、ユーザーコンテキストで動くように設定したフローでも、システムコンテキストで動いている Apex や別のフローから呼ばれると、呼び出し元の権限を引き継いでいました。新しい[ユーザーコンテキスト – ユーザー権限を適用]を選ぶと、呼び出し元に関係なく、実行ユーザーのアクセス権で動きます。
画面フローと自動起動フローで選べます。フローを保存するときの[詳細を表示]の中の[フローの実行方法]で選びます。
テストモードを使い始める
テストモードはベータです。設定の[クイック検索]に「プロセス」と入れて[プロセスの自動化設定]を開き、[フローテストモード(ベータ)]を選ぶと使えるようになります。Flow Builder の[テスト]からテストモードに切り替わります。テストモードの間は、フローの編集が制限されます。
04レポートからレコードをプレビューする
Lightning レポートで、レポートを開いたままレコードの詳細をサイドパネルで見られるようになりました。検索条件と列はそのまま残るので、レポートとレコードを行き来するたびにタブを開く必要がなくなります。
この機能はベータで、Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Edition、Developer Edition で使えます。設定の[クイック検索]に「レポート」と入れて[レポートおよびダッシュボード設定]を開き、[Lightning Reports でレコードプレビューを表示する(ベータ)]を選びます。レポートの表示中に目のアイコンを押すと、レコードのリンクがプレビューで開くようになります。
05Apex のヒープ上限が上がる
Apex のヒープの上限が、同期のトランザクションで 6 MB から 10 MB へ、非同期のトランザクションで 12 MB から 25 MB へ上がります。大きなデータを扱う処理で、ヒープの上限エラーが起きにくくなります。
カスタム Apex か管理パッケージの Apex を動かすすべてのエディションが対象で、Winter '27 のリリースに合わせて自動で有効になります。組織の上限は Limits.getLimitHeapSize() で確かめられます。
System.debug('上限: ' + Limits.getLimitHeapSize()); System.debug('使用量: ' + Limits.getHeapSize());
組織のヒープ上限と、いまの使用量をデバッグログに出す(読み取りだけで安全)
06確認した環境
- 2026年10月 / Salesforce Winter '27(API バージョン 68.0)時点の公式リリースノート(日本語版、2026年10月6日更新)で確認しています
- 機能の状態(ベータか一般提供か)とエディションは、リリースノートの記載に合わせています
07まとめ
- Winter '27 では、SOAP API の login() に「Use Any API Auth(任意の API 認証を使用)」権限が要るようになり、プロファイルの絞り込みが有効になります
- 連携の認証は、2026年11月30日・12月1日・2027年2月20日・Summer '27 と期限が続きます。ユーザー名パスワードフローの廃止は2027年2月20日です
- フローは、タグ、テストモード(ベータ)、リストビューからの画面フロー、保存時の必須項目の検査、ユーザー権限を適用する実行方法が加わります
- Lightning レポートから、レポートを開いたままレコードをプレビューできます(ベータ)
- Apex のヒープ上限は、同期で 10 MB、非同期で 25 MB に上がります
08参考
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