代理管理者で設定やユーザー管理の一部を現場に任せる方法
現場の担当者に設定の一部を任せたいとき、システム管理者のプロファイルを渡すと範囲が広すぎます。代理管理者を使うと、任せる範囲をロール・プロファイル・カスタムオブジェクトの単位で絞れます。できることと、つまずきやすい前提をまとめます。
01管理者を増やさずに一部だけ任せたいとき
「店舗の担当者が、商品の分類に使っている選択肢を自分たちで足したい」「拠点のリーダーに、自分の拠点のユーザーのパスワードリセットだけは任せたい」。こうした相談を、私たちも管理者の方から受けます。
システム管理者のプロファイルを渡せば作業はできます。ただ、組織のすべての設定とデータに手が届くので、任せたい範囲に対して広すぎます。Salesforce には、設定の一部だけを特定のユーザーに任せる「代理管理者」(英語の画面では Delegated Administration)があります。任せる相手と範囲を、代理グループという単位で決めます。
代理管理は Salesforce Classic と Lightning Experience の両方で使えます。使えるエディションは Enterprise・Performance・Unlimited・Developer・Database.com です。Professional Edition は公式ヘルプの対象に入っていません。
02代理管理者に任せられること
公式ヘルプが挙げている、代理管理者ができることは次のとおりです。
| 分野 | 任せられること |
|---|---|
| ユーザー | 指定したロールとその下位ロールのユーザーの作成と編集。パスワードのリセット、目標の設定、デフォルトの商談チームの作成、そのユーザーの非公開グループの作成も含みます |
| ユーザー | ユーザーのロック解除 |
| プロファイル | 指定したプロファイルへのユーザーの割り当て |
| 権限セット | 代理グループのユーザーへの権限セットと権限セットグループの割り当てと削除 |
| 公開グループ | 公開グループの作成と、指定した公開グループのメンバー管理 |
| ログイン | システム管理者へのログインアクセスを許可したユーザーとしてログインすること |
| カスタムオブジェクト | カスタムオブジェクトの管理と、そのほぼすべての面のカスタマイズ |
| その他 | カスタムメタデータ型のレコードの作成・編集・削除。Salesforce Classic での項目セットの作成・編集・削除 |
カスタムオブジェクトについて、公式ヘルプが例外として書いているのは2つだけです。オブジェクトのリレーションの作成や変更と、組織の共有設定はできません。参照関係や主従関係を足したい場合と、共有設定を変えたい場合は、システム管理者の作業として残します。
1人の代理管理者を複数の代理グループに入れることもできます。その場合は、入っているすべての代理グループのユーザーをまとめて管理できます。グループAの権限セットや公開グループを、グループBのユーザーに付けることもできます。
03任せられないことと注意点
公式ヘルプの注意書きを表にすると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 強い権限の付与 | 「すべてのデータの編集」権限を持つプロファイルや権限セットは割り当てられない |
| 強い権限のユーザー | 「すべてのデータの編集」権限を持つユーザーは、有効化も無効化もできない |
| 権限セットの中身 | 権限セットの割り当てはできるが、権限セット自体は変更できない |
| ロールの選択 | 新しいユーザーのロールを選ぶときに[未指定]が出ない |
| 数式の差し込み項目 | 数式からカスタムオブジェクトの差し込み項目を使うには、そのオブジェクトへのアクセス権が要る |
| ポータル | 組織の管理任務を、パートナーポータルやカスタマーポータルのユーザーには委任できない |
代理管理者になっても、もともと持っている権限は減りません。公式ヘルプは、権限は付加的だと説明しています。代理管理者に選ぶユーザーのプロファイルに「ユーザーの管理」や「アプリケーションのカスタマイズ」が付いていれば、代理グループの範囲を超えて作業できてしまいます。範囲を絞りたいなら、元のプロファイルの権限から見直します。
04代理グループを作る手順
代理管理を設定できるのは、システム管理者か、「アプリケーションのカスタマイズ」と「設定・定義の参照」の両方を持つユーザーです。手順は、Salesforce のヘルプとナレッジ記事「代理管理者の設定」に沿っています。
代理管理の画面を開く
設定の[クイック検索]に「代理管理者」と入れ、[代理管理者]を選んで[新規]を押します。
代理グループを作って保存する
代理グループを作ります。代理管理者に、管理するロール階層のユーザーとしてのログインを許す場合は[ログインアクセスの有効化]を選び、[保存]を押します。代理グループは、共有に使う公開グループとは別のものです。
代理管理者を決める
[代理管理者]のセクションで[追加]を押し、任せる相手のユーザーを選びます。
管理させるロールを決める
[ユーザ管理者]のセクションで[追加]を押し、代理管理者がユーザーを作成・編集できるロールと下位ロールを指定します。
割り当てを許すプロファイルを決める
[割り当て可能なプロファイル]のセクションで[追加]を押し、代理管理者がユーザーに割り当ててよいプロファイルを指定します。「すべてのデータの編集」を持つプロファイルは選べません。
任せるカスタムオブジェクトを決める
[カスタムオブジェクト管理]のセクションで[追加]を押し、任せるカスタムオブジェクトを選びます。代理管理者は、選んだカスタムオブジェクトと、そのタブの管理者として働けます。
代理管理者が割り当てられるのは、代理グループの「割り当て可能」として明示的に追加したプロファイル・権限セット・ロール・権限セットグループだけです。ナレッジ記事では、代理管理者は範囲を限られた(scoped)管理者として扱われると説明しています。
ここで間違えやすい
代理グループに登録するだけでは足りない権限が2つあります。
| 任せたいこと | 代理管理者のプロファイルに要る権限 |
|---|---|
| 代理管理者として設定画面で作業する | 「設定・定義の参照」 |
| ほかのユーザーのパスワードをリセットする | 「ユーザーパスワードのリセットおよびユーザーのロック解除」 |
05データの管理だけならオブジェクト権限を使う
代理管理者は「設定」を任せる仕組みです。特定のオブジェクトのレコードを全部見られるようにしたい、全部直せるようにしたいという「データ」の話なら、公式ヘルプはオブジェクト権限の「すべてのレコードの参照」や「すべてのレコードの編集」を使うよう案内しています。
| やりたいこと | 使うもの |
|---|---|
| 拠点のユーザーの作成・パスワードリセットを任せる | 代理管理者([ユーザ管理者]と[割り当て可能なプロファイル]に追加) |
| カスタムオブジェクトの設定を任せる(リレーションと組織の共有設定を除く) | 代理管理者([カスタムオブジェクト管理]に追加) |
| 特定オブジェクトのレコードを全件見せる・直させる | オブジェクト権限「すべてのレコードの参照」「すべてのレコードの編集」 |
| リレーションや組織の共有設定を変える | システム管理者の作業として残す |
任せる前に、相手がしたいのが設定の変更なのか、レコードの操作なのかを聞き分けると、付けるものを選びやすくなります。
06確認した環境
- 2026年10月 / Salesforce Winter '27(API バージョン 68.0)時点の公式ドキュメントで確認しています
- 内容は、Salesforce ヘルプの「管理任務の委任」「代理管理者の定義」と、ナレッジ記事「代理管理者の設定」(いずれも日本語版と英語版)の記載に合わせています
07まとめ
- 代理管理者を使うと、システム管理者を増やさずに、ユーザー管理やカスタムオブジェクトの設定を範囲を絞って任せられます
- カスタムオブジェクトは「ほぼすべての面」を任せられますが、リレーションの作成・変更と組織の共有設定はできません
- 代理グループでは、代理管理者・管理させるロール・割り当て可能なプロファイル・任せるカスタムオブジェクトを個別に指定します
- 代理管理者のプロファイルには「設定・定義の参照」が要り、パスワードのリセットも任せるなら「ユーザーパスワードのリセットおよびユーザーのロック解除」も要ります
- 権限は付加的なので、代理管理者の元のプロファイルが強いと範囲を絞れません
- レコードの全件参照・全件編集を任せたいだけなら、オブジェクト権限で付けます
08参考
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