2026.10.27導入・活用の解説

代理管理者で設定やユーザー管理の一部を現場に任せる方法

現場の担当者に設定の一部を任せたいとき、システム管理者のプロファイルを渡すと範囲が広すぎます。代理管理者を使うと、任せる範囲をロール・プロファイル・カスタムオブジェクトの単位で絞れます。できることと、つまずきやすい前提をまとめます。

01管理者を増やさずに一部だけ任せたいとき

「店舗の担当者が、商品の分類に使っている選択肢を自分たちで足したい」「拠点のリーダーに、自分の拠点のユーザーのパスワードリセットだけは任せたい」。こうした相談を、私たちも管理者の方から受けます。

システム管理者のプロファイルを渡せば作業はできます。ただ、組織のすべての設定とデータに手が届くので、任せたい範囲に対して広すぎます。Salesforce には、設定の一部だけを特定のユーザーに任せる「代理管理者」(英語の画面では Delegated Administration)があります。任せる相手と範囲を、代理グループという単位で決めます。

代理管理は Salesforce Classic と Lightning Experience の両方で使えます。使えるエディションは Enterprise・Performance・Unlimited・Developer・Database.com です。Professional Edition は公式ヘルプの対象に入っていません。

02代理管理者に任せられること

公式ヘルプが挙げている、代理管理者ができることは次のとおりです。

分野任せられること
ユーザー指定したロールとその下位ロールのユーザーの作成と編集。パスワードのリセット、目標の設定、デフォルトの商談チームの作成、そのユーザーの非公開グループの作成も含みます
ユーザーユーザーのロック解除
プロファイル指定したプロファイルへのユーザーの割り当て
権限セット代理グループのユーザーへの権限セットと権限セットグループの割り当てと削除
公開グループ公開グループの作成と、指定した公開グループのメンバー管理
ログインシステム管理者へのログインアクセスを許可したユーザーとしてログインすること
カスタムオブジェクトカスタムオブジェクトの管理と、そのほぼすべての面のカスタマイズ
その他カスタムメタデータ型のレコードの作成・編集・削除。Salesforce Classic での項目セットの作成・編集・削除

カスタムオブジェクトについて、公式ヘルプが例外として書いているのは2つだけです。オブジェクトのリレーションの作成や変更と、組織の共有設定はできません。参照関係や主従関係を足したい場合と、共有設定を変えたい場合は、システム管理者の作業として残します。

1人の代理管理者を複数の代理グループに入れることもできます。その場合は、入っているすべての代理グループのユーザーをまとめて管理できます。グループAの権限セットや公開グループを、グループBのユーザーに付けることもできます。

03任せられないことと注意点

公式ヘルプの注意書きを表にすると、次のとおりです。

項目内容
強い権限の付与「すべてのデータの編集」権限を持つプロファイルや権限セットは割り当てられない
強い権限のユーザー「すべてのデータの編集」権限を持つユーザーは、有効化も無効化もできない
権限セットの中身権限セットの割り当てはできるが、権限セット自体は変更できない
ロールの選択新しいユーザーのロールを選ぶときに[未指定]が出ない
数式の差し込み項目数式からカスタムオブジェクトの差し込み項目を使うには、そのオブジェクトへのアクセス権が要る
ポータル組織の管理任務を、パートナーポータルやカスタマーポータルのユーザーには委任できない

代理管理者になっても、もともと持っている権限は減りません。公式ヘルプは、権限は付加的だと説明しています。代理管理者に選ぶユーザーのプロファイルに「ユーザーの管理」や「アプリケーションのカスタマイズ」が付いていれば、代理グループの範囲を超えて作業できてしまいます。範囲を絞りたいなら、元のプロファイルの権限から見直します。

04代理グループを作る手順

代理管理を設定できるのは、システム管理者か、「アプリケーションのカスタマイズ」と「設定・定義の参照」の両方を持つユーザーです。手順は、Salesforce のヘルプとナレッジ記事「代理管理者の設定」に沿っています。

  1. 代理管理の画面を開く

    設定の[クイック検索]に「代理管理者」と入れ、[代理管理者]を選んで[新規]を押します。

  2. 代理グループを作って保存する

    代理グループを作ります。代理管理者に、管理するロール階層のユーザーとしてのログインを許す場合は[ログインアクセスの有効化]を選び、[保存]を押します。代理グループは、共有に使う公開グループとは別のものです。

  3. 代理管理者を決める

    [代理管理者]のセクションで[追加]を押し、任せる相手のユーザーを選びます。

  4. 管理させるロールを決める

    [ユーザ管理者]のセクションで[追加]を押し、代理管理者がユーザーを作成・編集できるロールと下位ロールを指定します。

  5. 割り当てを許すプロファイルを決める

    [割り当て可能なプロファイル]のセクションで[追加]を押し、代理管理者がユーザーに割り当ててよいプロファイルを指定します。「すべてのデータの編集」を持つプロファイルは選べません。

  6. 任せるカスタムオブジェクトを決める

    [カスタムオブジェクト管理]のセクションで[追加]を押し、任せるカスタムオブジェクトを選びます。代理管理者は、選んだカスタムオブジェクトと、そのタブの管理者として働けます。

代理管理者が割り当てられるのは、代理グループの「割り当て可能」として明示的に追加したプロファイル・権限セット・ロール・権限セットグループだけです。ナレッジ記事では、代理管理者は範囲を限られた(scoped)管理者として扱われると説明しています。

ここで間違えやすい

代理グループに登録するだけでは足りない権限が2つあります。

任せたいこと代理管理者のプロファイルに要る権限
代理管理者として設定画面で作業する「設定・定義の参照」
ほかのユーザーのパスワードをリセットする「ユーザーパスワードのリセットおよびユーザーのロック解除」
代理グループを作ったら、代理管理者に選んだユーザーのプロファイルを開き、この2つの権限が付いているかを確かめてから、任せたことを伝えます。パスワードのリセットを任せない場合は、2つ目の権限は付けません。

05データの管理だけならオブジェクト権限を使う

代理管理者は「設定」を任せる仕組みです。特定のオブジェクトのレコードを全部見られるようにしたい、全部直せるようにしたいという「データ」の話なら、公式ヘルプはオブジェクト権限の「すべてのレコードの参照」や「すべてのレコードの編集」を使うよう案内しています。

やりたいこと使うもの
拠点のユーザーの作成・パスワードリセットを任せる代理管理者([ユーザ管理者]と[割り当て可能なプロファイル]に追加)
カスタムオブジェクトの設定を任せる(リレーションと組織の共有設定を除く)代理管理者([カスタムオブジェクト管理]に追加)
特定オブジェクトのレコードを全件見せる・直させるオブジェクト権限「すべてのレコードの参照」「すべてのレコードの編集」
リレーションや組織の共有設定を変えるシステム管理者の作業として残す

任せる前に、相手がしたいのが設定の変更なのか、レコードの操作なのかを聞き分けると、付けるものを選びやすくなります。

06確認した環境

  • 2026年10月 / Salesforce Winter '27(API バージョン 68.0)時点の公式ドキュメントで確認しています
  • 内容は、Salesforce ヘルプの「管理任務の委任」「代理管理者の定義」と、ナレッジ記事「代理管理者の設定」(いずれも日本語版と英語版)の記載に合わせています

07まとめ

  • 代理管理者を使うと、システム管理者を増やさずに、ユーザー管理やカスタムオブジェクトの設定を範囲を絞って任せられます
  • カスタムオブジェクトは「ほぼすべての面」を任せられますが、リレーションの作成・変更と組織の共有設定はできません
  • 代理グループでは、代理管理者・管理させるロール・割り当て可能なプロファイル・任せるカスタムオブジェクトを個別に指定します
  • 代理管理者のプロファイルには「設定・定義の参照」が要り、パスワードのリセットも任せるなら「ユーザーパスワードのリセットおよびユーザーのロック解除」も要ります
  • 権限は付加的なので、代理管理者の元のプロファイルが強いと範囲を絞れません
  • レコードの全件参照・全件編集を任せたいだけなら、オブジェクト権限で付けます

08参考

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