2026.11.03設定・自動化

Quip の提供終了に向けた期限の確認とデータの移し方

Quip は 2027年3月1日で契約の更新ができなくなり、無料版は 2027年3月31日でアクセスできなくなります。文書は自動では移されません。自分の組織の期限を確かめ、エクスポートか Slack キャンバスへの変換かを選ぶための材料をまとめます。

01Quip を使っている組織が先に確かめること

Salesforce は Quip の提供終了を公式ヘルプの記事「Quip の廃止」(英語版は Quip Retirement)で案内しています。記事の公開は 2026年3月3日で、2026年7月29日に更新されています。

2026年2月17日から、既存のお客様以外は、有料・無料・トライアルの新しい Quip アカウントを作れなくなりました。すでに使っている組織にとって大事なのは、次の2つです。

  • 自分の Quip がどの契約の種類に当たり、いつまで使えるか
  • 文書をどこへ、どうやって移すか

公式記事は、Quip のコンテンツは自動では移されないと書いています。移行そのものの期限は「現時点ではない」とされていますが、契約が切れたあとは段階的に使えなくなるので、契約の期限から逆算して準備します。

02契約の種類ごとの期限

公式記事は、利用のしかたを3つに分けて期限を書いています。

種類見分け方期限
Salesforce との契約(請求書払い)Salesforce から請求書が届いている2027年3月1日まで契約を更新できる。いまの契約期間が終わるまではすべての機能を使える
セルフサービスquip.com でカード(Stripe)払いしている2027年3月1日までサブスクリプションを更新できる。いまの期間が終わるまでは使える
無料版チームサイトか個人アカウントで、支払いをしていない2027年3月31日まではすべての機能を使える。その後はアクセスできない

有料の契約は、2027年3月1日より前に更新しておけば、その契約期間の終わりまで使えます。更新の時期と期間は契約ごとに違うので、自分の契約書かサブスクリプションの画面で終了日を確かめます。

03契約が切れたあとの3段階

有料のサブスクリプションが切れると、公式記事では次の3段階で進むと説明しています。

段階期間起きること
読み取り専用90日ログインはできるが、共同編集はできない
ログインの停止30日Quip サイトにログインできなくなる
データの削除約30日削除の処理が始まり、終わるまでおよそ30日かかる

無料版について公式記事が書いているのは、2027年3月31日でアクセスできなくなることだけです。無料版にもこの3段階があるとは書かれていないので、無料版は 2027年3月31日までに移し終える前提で進めます。

管理者は、移行の途中で編集を止めたいときに Quip を読み取り専用にできます。ユーザー単位なら管理コンソールから、サイト全体なら Admin API の updateOffboardingConfig を使います。

04移す先を決める

公式記事が挙げている移し先は2つです。

移し先向いている内容
Slack議事録、ヘルプ用の文書、共同で書く下書きなど。canvas を使える Slack のプランがあれば、Quip の文書を Slack キャンバスへ変換できる
Agentforce Salesアカウントプラン。構造化されたデータとして管理する

Slack を使っていない組織や、文書を手元に保管しておきたい場合は、エクスポートを使います。

05文書を1件ずつエクスポートする

公式ヘルプの「Quip のインポートとエクスポート」では、画面から1件ずつ書き出す手順を案内しています。

  1. 文書を開く

    書き出したい Quip の文書を開きます。

  2. エクスポートを選ぶ

    文書の左上にある[ドキュメント]のメニューを開き、[エクスポート]にカーソルを合わせます。スプレッドシートの場合は[スプレッドシート]のメニューから同じように選びます。

  3. 形式を選ぶ

    形式を選ぶと、ダウンロードフォルダーにファイルが保存されます。

書き出すもの選べる形式
文書PDF、Microsoft Word、HTML、マークダウン。スプレッドシートを含む文書なら Microsoft Excel と CSV も
スプレッドシートPDF、HTML、マークダウン、Microsoft Excel、CSV

ここで間違えやすい

Quip には、会社のデータをまとめて1つのフォルダーや Zip ファイルに書き出す機能がありません。コメントを含めたエクスポートも、画面の機能としては用意されていません。文書が多い組織は、次の一括エクスポートを検討します。書式の崩れを抑えたいときは、DOCX か HTML で書き出すよう公式ヘルプは案内しています。

06まとめて書き出すときは Admin API を使う

公式記事では、追加のツールが出るまでは API が一括エクスポートの唯一の手段だとしています。一括エクスポートが使えるのは Quip Plus と Quip Advanced です。手順は公式ヘルプの「Bulk Export of Quip Content Using the Quip Admin API」に沿うと、次の流れになります。

  1. 管理者ロールに権限を付ける

    自分の管理者ロールに「Unredacted Audit Access to All Members & Content」の権限を付けます。

  2. API キーを作る

    管理コンソールの[Settings]→[Integrations]→[New API Key]で API キーを作り、アクセストークンを取得します。

  3. 書き出す文書の ID を集める

    サイト全体、ユーザー単位、フォルダー単位のいずれかの API で、対象の文書の ID を一覧にします。フォルダー単位では子フォルダーもたどります。

  4. 一括エクスポートを依頼して進み具合を見る

    Bulk Export の API で依頼し、進み具合を確かめる API で完了を待ちます。形式は PDF、DOCX、XLSX、HTML を選べます。

書き出せる量には、会社単位で1時間あたり36,000件という既定の上限があります。超えたときは次の1時間を待ちます。

07Slack キャンバスへ変換するときの前提

Slack キャンバスへ変換するには、先に管理者が Quip と Slack をつなぎます。公式ヘルプの「Quip 管理者ガイド: Quip チームと Slack の接続方法」では、次の流れです。

担当すること
Quip の管理者管理コンソールの[Slack 変換]の設定で、Slack の Team ID と Slack の URL を入れて接続を要求する
Slack のワークスペース管理者届いた接続要求を承認する。7日以内に承認か却下をしないと、要求は期限切れになる
自動の処理メールアドレスで Quip と Slack のアカウントを照合する。照合は1日に複数回、自動で走る
文書の所有者照合が済んだあと、文書を1件ずつ変換する

変換する人は、その Quip の文書の所有者である必要があります。Slack に同じメールアドレスのアカウントがないユーザーは、変換後のキャンバスを開けません。

エンドユーザー向けの FAQ には、変換で起きることが書かれています。

  • 変換できる Quip の文書は約65%で、変換できない文書には変換のボタンが出ない
  • 文字の色やハイライト、下位の見出し、表の一部の書式は、簡略化されたり失われたりする
  • Calendar や Kanban などのライブアプリは、表示は変わるがデータは残る
  • 文書に入っている Salesforce のデータは引き継がれるが、閲覧や編集ができなくなるユーザーが出ることがある
  • 変換後の元の文書は、削除されずに読み取り専用になる
  • 管理者が止めていなければ、変換から10日以内なら取り消せる。取り消すと、Slack 上での編集も含めてキャンバスが削除される

Salesforce のデータを入れた文書は、変換したあとに、使う人が開けるかを確かめます。

08確認した環境

  • 2026年11月 / Salesforce Winter '27(API バージョン 68.0)時点の公式ドキュメントで確認しています
  • 内容は、Salesforce ヘルプの「Quip の廃止」(2026年7月29日更新)、「Quipのインポートとエクスポート」、「Bulk Export of Quip Content Using the Quip Admin API」、「Quip 管理者ガイド: Quip チームと Slack の接続方法」、「Quip から Slack キャンバスへの変換: エンドユーザー向け FAQ」の記載に合わせています

09まとめ

  • 有料の Quip は 2027年3月1日まで更新でき、その契約期間の終わりまで使えます。無料版は 2027年3月31日でアクセスできなくなります
  • 有料のサブスクリプションが切れると、読み取り専用90日、ログイン停止30日、データ削除約30日の順に進みます
  • Quip のコンテンツは自動では移されないので、管理者がエクスポートか Slack キャンバスへの変換を選んで進めます
  • 画面からのエクスポートは1件ずつで、まとめて書き出すには Quip Plus か Quip Advanced で Admin API を使います
  • Slack キャンバスへの変換は、Quip と Slack の接続、アカウントの照合、文書の所有者による変換の順で進み、変換できる文書は約65%です

10参考

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